Best of Albums 2018

 今年も傑作揃い踏み。だけれども、傑作止まりで大傑作まで行くものも多いわけではなく、このところのストリーミングが席巻するこの世論ではアルバムという媒体が古くなっているのかもしれない。そういう私自身も、キュレーターが選ぶプレイリストばかり聞いていた。そういう流れをくんでかどうかはわからないが、Kanyeの作品群は7曲と聞きやすくしているのが印象に残る。

 

 今年こそはTrapの息の根が止まるのか、とそんなわけもなく去年よりも猛威を奮っていた。Trapも何年も聞いていたら慣れていくのか麻痺していくのか、普通に聞けるようになってきた。その中でも、サウス・フロリダ・サウンドであるXXXTENTACIONやTrippie Reddがロックを上手に調合したサウンドを作っていった。Trippie Reddの方は、敢闘賞に新人賞に何もかも差し上げたいぐらいのツボである作品をリリースした。日本の巷で流行っていた”エモい”という言葉。それ以上に世界を席巻したジャンルがエモ・ラップではないだろうか。

 

 今年は若い二人の巨塔が逝ってしまった。Mac MillerとXXXTENTACIONである。人である以上いつかは迎える死。更には、推測でしか無いが裏でイロイロありそうな職業である。いつ亡くなっても仕方ない面はあるが、早すぎる気もする。きっと来年も起こるであろう。こればっかりはどうしようもない*1

 

 今年遂にビルボードを制する日本人が出てきた。JOJIである。BALLAD 1がR&BとHipHopアルバムチャートを制覇する。TVではしょうもない日本産をホルホルしないで、こういうところをホルホルすべきである。これを聞いて感じるのは、日本人に残された道はLo-FIサウンドではないかと感じる。 残念ながら88Risingのライブは出演しないことになったが、近いうちに凱旋を行ってくれる気もする。

 

Best Albums

iKON - Return

YGは裏切らないのである。

 韓国産の7人組アイドルであるが、YG産であると一定のレベルは超えてくる。だが、この一枚は、そのレベルを軽々と超えてしまう。B.IとBobbyのラップは間違いなく、ちっこい奴とおっきい奴のボーカルでまとめ上げられるとどうしようもなくなる。

 

Various Artists - Black Panther: The Album

 映画も良ければ、音楽も良い

”King's Dead”に”X" ”Paramedic!" ”Big Shot" そして”All The Stars”と名曲揃いで。Futureの変なラップも、聞けば聞くほど聞きたくなる中毒性。ブラックパンサーのエンディングで流れたときも良かった。フジロックでも良かった。

 

Rae Sremmurd - SremmLife 3

長い三枚組

 長い三枚組で27曲入り、だが、Rae Sremmurdでの一枚目は素晴らしい。The Weekndとの”Bedtime Stories”や、Juicy Jとの”Powerglide"、”T'd Up"に”Perplexing Pegasus”とMike Will Made Itとの相性の良さを感じさせられる。Swae LeeのコーラスはこれからのPop界には欠かせないぐらいの存在価値を出している。Post Maloneとの”Spoil My Night"なんて真骨頂である。Jxmmiも、うん、悪くない。頑張ろう。

 

Pusha T - DAYTONA

Kanye無双

半年も前だと記憶も薄いが、一ヶ月に渡ってKanyeプロデュースのアルバムが出できたことがあった。たしか、PushaのDaytonaがいの一番であったような記憶がある。”IYKYK”で始まり、Drakeのアンサーである”Infrared”で終わる。たった21分の至高。このときは気づかなかったが、次もその次も20分前後であった。Pushaはガチ、Pushaはガチと聞くが、ガチでガチである。”IYKYK”のVerse 1はほぼアカペラチックにフロウするPusha。”N in Paris 'fore Hit-Boy These ain't the same type of hits, boy”とKanyeもたてながらフロウし、”If You Know You Know”とつぶやくと知っているKanyeサウンドがやってくる。至高である。Kanyeも隠居して、ずっとプロデュース業をしていてほしいと思った一週間であった。

 

Kanye West - ye

YE無双

 変なアプリをインストールさせられる信者たち。配信が始まれども、ワイオミングのクソ田舎の映像。一生焚かれる火。沈む陽。一旦アプリを閉じる。気づけばKanyeが到着したとの通知。そしてリリースパーティーが始まる。いきなりの”I Thoght About Killing You” えげつない。そこから二周して、配信は終了。そして少ししてストリーミング配信。”I Thoght About Killing You”はふわふわした高揚感に溢れているのに、”Yikes”では変わってなにかに取り憑かれたようなラップ。そんな二面性を押し出しているアルバム。”Ghost Town”では後々コラボするKid Cudiの信じれるコーラスが聞こえる、泣ける。その後に、Cudiに共鳴するようにKanyeが出てくる、泣ける。

 

Kids See Ghosts - Kids See Ghosts

Cudi無双

 村上隆のカバーアートが公開され期待が最高潮。二週前にリリースしたPushaが早くも登場する”Feel The Love”。その後にCudiかラップする、そうしたら異質の声が飛び込んでくる。「ガダダダダダ」しか言わないKanyeである。”4th Dimension”では”What is Santa bringing?”とサンプリングを使い、Kanyeがラップ。笑い声を境にCudiがついてくる。素晴らしい。その次が”Freeee (Ghost Town Pt.2)”というだけあり、前作 yeの続編的トラックになっている。このときの”暴走”を裏付けるようにTyが”I Feel Free”とコーラスしまくる。Kanyeの自由を感じる。”Reborn”は今年のベストソング級の一曲。Cudiがもう最高のコーラスを届ける。Cudiのいろいろあった過去から前へと進む意思をひしひしと感じさせる力強い、強すぎるコーラスである。それに応えるKanye、クスリも飲まないだとかの内省的なリリック。表題曲でもある”Kids See Ghosts”はYasiin Bayの特徴的コーラス。子供にしか見えないようなもの、シックスセンスみたいな超自然的なものを持っていると見せつける二人。たまらなかったこの一枚。Cudi好きは泣いて喜んだ。

 

Jay Rock - Redemption

今年の一枚はこれ

 今、一番乗りに乗っているLAのレーベルはTDEであろう。LAでは泣く子も黙りそうな勢いである。その中で最古参でもあるJay。レーベルの効果もあるであろうが、一番の期待を寄せたのはブラックパンサーでの”King's Dead”のヒットだろう。前作90059ではパッとする結果を残せず、ほぼ二三年沈黙していたのであった。だがKendrick並にポテンシャルを持っていた、それが”King's Dead”につながった。その勢いのままリリースされたのはRedemptionである。私自身、今年一番聞いたアルバムはこれであるし、一番聞いた曲は”WIN”である。それぐらい、Jayのファンでもあった私の気持ちである。この曲で取り上げられるのは、Kendrickとのコラボである”Wow Freestyle”と”WIN”だろう。前者ではHit-Boyがプロデュースで、最高の一曲に仕上がっている。JayのVerseでは、同郷のOGであるIce Cubeの名曲”Go to Church”をオマージュさせる秀才さを見せつける。だがこの曲の見せ所は別にあり、それはKendrickとの掛け合いにある。これがファンである皆が望んでいたものであっただろう。”ES Tales”ではスーパーマリオブラザーズでのコインの音をサンプリングする。”You Know The Zip”と問いかけるJay。これはジップコードのことであり、前作に繋がる部分でもある。ESはEastside LAのことを指しており、Jayの生き様をこれでもかと見せつけてくる。”Rotation 112th”では、地元ワッツに存在する通りである。そして、このVerseで見せつけるラッピングがこれまでとは一味違う。叫ぶようなラッピングである。それがこのアルバムで多用されていて、違う一面を感じさせた。”OSOM”では、Jayが本当の自分自身を知られていないと、自分自身のことをラップする。そして、J.ColeとはFreshman 2010で同期である縁で参加しているらしい。”WIN”はなぜか日本でMVが見えない!が、TDEの面々(Zacariまでも)がほぼ集結している。かっこよく決めたJayがそれはそれは超かっこいい。この”WIN"だが、どこかのボクサーが登場曲に使うなど、スポーツ界でも認知されている。Betでのジェイミー・フォックスの掛け合いも良かった。そして、Kendrickのアドリブが効果的な部分で必ず顔を出す。こんな贅沢な使い方をできるのはJayだけである。そして、素晴らしいのが14曲中10曲のMVが制作されていることである。使うところがわかっているTDE。最高である。その中でもお気に入りは”Wow Freestyle”である、一番ウキウキしているのがわかる。映像を見ればわかってもらえるが、最新のカメラワークで、もうなにがなんだかわからないところがある。といっても、Jack Begertという監督がTDEの御用達のようで、数々の先進的なカメラワークをかましているのだ。耳からも目からも楽しめる上質なアルバムであった。

 

88rising - HEAD IN THE CLOUDS

アジアのスター集めたやつ

 なぜが世界中の新進スターたちに顔が広い88。その中に88に所属しているスターたちもいる。Rich BrianやJojiが筆頭で、中国のHigher Brothersなどもいる。”Midsummer Madness”や”Peach Jam”でわかるように、このアルバムでひときわ目立つコーラスを放つのがJojiである。どこか悲しげが隠れているようで裏があるような声で歌い上げるJojiは絶品である。そして、なぜかVerbalが参加している。日本の最先端はLDHであるように感じさせる。Rich Brianは”History”でわかるように、親しげな顔であるのに近寄れそうにないスキルがある。ギャップである。88のアーティスト全般的に言える事があり、どこか悲しい一面を感じさせるところがある。なにかが哀愁を誘っているような。わからないけどノスタルジックなのだ。

 

Mac Miller - SWIMMING

実験的な。

このアルバムを話すときは、必ずしも彼の死とセットになってしまう。なんて言ったって、この同日にはTravis ScottとYGのアルバムがリリースされていた。その当時の、アンケートではTravisが7割、YGが2割、Macが1割以下の割合で支持されていた*2。一度旬を過ぎてしまうと、なかなか聞く時間がないほど、リリース間隔が短い現代。死んでから気付く一枚であった。彼のキャリアと言うと、ハタチ前後のパーティラップが思い浮かぶだろう。だが、キャリアを深めるにつれてジャジーで先進的なヒップホップを突き詰めていった*3。”Self Care”はアリアナと別れたきっかけであり、死の間接的原因でもあるDUIや薬物についての曲である。今思えばだが、アリアナと別れなければもう少しは寿命があったと感じる。サゲマンに心と命を奪われた結果となった。なにもない土曜の夕方に丸々聞きたいようなアルバムである。

 

Travis Scott - Astroworld

誰もが行きたいアストロワールド

アストロワールドとは、地元であるヒューストンに存在した遊園地である。それをTravisの感性で再構築したアルバムがAstroworldというわけだ。”Rollin', rollin', rollin', got me stargazin' ”で始まるアトラクションは、58分かけ終りとなる。その中には、客演の鬼Drakeや同門子分のSheck Wes、新進気鋭のGunnaにみんな大好きKid Cudiなどが参加しているのである。プロデュース陣営もWandaGurlやMike Dean、Hit BoyにMurda Beatzとゴリゴリに固め、さらにはTay Keithという今年の顔とも言えよう者まで取り込む。どこに死角があるのか、売れない要素はどこにもないような内容。その中でも推したいのが”YOSEMITE”と”STOP TRYING TO BE GOD”である。前者はGunnaが参加していて、このGunnaのコーラスが素晴らしい。歯切れのいいフロウと、特徴的なサウンドで耳に残ること。Gunnaのことは耳にする程度であったが、これで確信したほどである*4。後者はKid Cudiが「ふーんふー」というだけの曲である。本当にこれだけなのだが、どうして耳に残るのであろうか。そして、MVは嫁が動物を抱いているだけの動画なのだ、なのにどうして身体が求めだすのだろうか。そして、忘れていけないのは”SICKO MODE”と”NO BYSTANDERS”である。”SICKO MODE”はDrakeとのコラボであるが、中身が濃い。三部作ぐらいに分かれていて、ビートチェンジが起こる。そして、突然現れるBiggieの声*5。そして締めのトラックはTay Keith。間違いなさすぎる。”NO BYSTANDERS”はSheck Wesと共にBitch!と叫ぶ曲である。だが、たまに外れのアトラクションがあるのも事実で、そこが死角で弱点である。

 

 

YG - STAY DANGEROUS

So Brazyである

はっきり言って、同日の中で一番期待していた一枚である。そして裏切らなかった一枚である。ニセブラッズとも言われる6ix 9ineに向けてのラインも多めな感じで、血の気が多いYGにぴったりである。このアルバムでは、特徴的なしゃがれっぽい声を更に全面に押し出している。”BULLETPROOF”でのJay 305のラップはこれでこそウェッサイだと感じさせる、いい意味で頭悪そうなラップをしてくれる。頭空っぽにして聞くとたまらんのです。”SUU WHOOP"ではYG自身が頭悪そうラップをカマしてくれる。ありがたいことにビーフ相手の攻撃部分もあり、さらに高得点を稼いでくれる。”BIG BANK”では、なぜこのメンツで売れないのかわからないぐらいのメンツを揃えている(Tekashi談)*6。こちらも客演の鬼である2Chainzがしっかりと主張し、Big Seanがコリン・キャパニックを使いながら、最初にビリオネアになったことをを誇示。そのおかげで、Maddenからキャパニック部分を消されたが。”HANDGUN”ではYGの現状がわかる。空っぽなリリックを声で全部押し通しあげる。もう名人芸である。

 

 

Trippie Redd - Life's a Trip

How You Feelが今年の一曲

ALLTY 2でも一定のクオリティであったが、この一枚でクオリティをかなり上げることになる。クラウド・ラップ出身でも一二を争うレベルのスキルと考える*7。6月に”How You Feel”を出したことにより、私の中の株が急上昇。クラウド・ラップ出身のくせに、ほぼロックな一曲、しかもエモい。無茶苦茶にずるい一曲。歌詞はほぼ繰り返しているだけなのに、リフから何から全てがかっこよく美しい、心の奥底から掴まれる。歌い上げる声も甘い。これをロックバンドが作るわけではなく、新進ラッパーが作り上げたのである。これが天才なのである。そして、これに繋がるのが”Dark Knight Dummo”である。さっきまでロックバラードを歌い上げた男が元通りである。いや元よりパワーアップしている。トリップしていないと考えもつかない右往左往したアルバムは、私の頭を混乱させ、安心させる。これが癖になるのである。Trippieのこの激しすぎる二面性が、半端ないのである。”Taking A Walk”も心に突き刺さるようなリリックである。であるのに、なんてハッピーなトラックであるのだろうか。

 

 

Young Thug - On The Rvn

”逃走中”のお話

リリース前後に本当に逮捕されてしまうYoung ThugのEP。捕まったから何だと言わんばかりの傑作。特に、Elton Johnの”Rocket Man”を大胆にサンプリングした”High”は超名曲である。London on da Trackが半分をプロデュースしているが、その3曲もいい出来。だが、素晴らしいのは”Real In My Veins”と”High”である。前者はSupah Marioのプロデュースで、Young Thugのメロウなコーラスがいきなり掴んでくるのである。さてはメロウな曲かと思わせておいての、ゴリゴリ三連符ラップをするのである。ありそうでなかなかなさそうな一人二役なYoung Thug。R&Bのアルバムも出していたが、こんなものもできるのかと、一人でアガっていた。次は”High”である。FeatがElton Johnの時点でどんな作品かと浮かびもしなかったが、聞けば驚き”Rocket Man”である。そのElton Johnのコーラスに、Young Thugが被せてくるのである。あまりにも、あまりすぎる。今年はエモーショナルな曲が多かったが、最高級である。

 

 

 

QueenBohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)

Queen大旋風

今や、飛ぶ鳥を落とす勢いの伝記映画”ボヘミアン・ラプソディ”。そのOSTであるのだが、その中でも、ファンの中で名高いパフォーマンスのうちの一つであるライブ・エイドのパフォーマンスが初めて収録された。ただのネタバレだが、最後の21分はライブ・エイドのことである。ていうか、トレーラーみて20分台のことならこれ以外思い浮かばないだろう。映画の感想は、もう満足だったのだが*8。長らくのQueenファンとしては、気軽にライブ・エイドの音源を聞けるようになったのがありがたすぎるのである*9。入ってる曲がすべて名曲であり、最高の入門編となっているはず。初心者にはこれを聞かせて沼に落とそう。”Ay-Oh”を別個に収録したスタッフ大好きだぞ。

 

Joji - BALLADS 1

日本に輝く数少ない星

 残念ながら、シングルではチャートインしなかったが、アルバムでの1位は快挙すぎるのではないか。今は、R&BとHip Hopの独壇場であるアメリカ市場に、真っ向勝負を挑んで勝った一作。”セックス大好き”と歌ったピンクのオトコはどこにいったのか、Lo-FiでAmbientなサウンドに乗るJojiの声。どこかメランコリーなのに、真っ黒ではないような。だが、中身は圧倒的な絶望感と自己否定感に溢れている救いようのない世界観である。そこで救われるのは、上質なサウンドたちである。今やJojiの十八番であるLo-Fiサウンドや、突然鳴り響くギターやドラム、ピアノバラードなどがJojiの歌声を彩る。と言っても、なにか共感するところがあるんですよね。何言うているかよくわかんないところでも。そういうところを引き出したアルバムって珍しい。

 

 

Takeoff - The Last Rocket

Takeoffて知ってますか?

Takeoffは、あのMigosの片割れでもないやつである。実際に顔を見ても判別つかない。QuavoとTakeoffの組み合わせだとわかるが、トリオのときやOffsetとの組み合わせだと全くわからん。しかも、ソロアルバムのリリースの順番は目立たない2番目である。ここまでの仕打ちを受けながらリリースした一作、悪い訳がない。と言っても、目立たない3番人気である、Quavoのようでもなければ、Offsetみたいなわけでもない。良く言えば落ち着いているのである*10。そういうのに惹かれる変なのもいるんですよね。取り上げたいのは後半の二曲、”Casper”と”Infatuation”である。今年の私の中で急上昇のゾーンに一直線である。後者の方は、Takeoffがすぐには出てこないのである。80年代っぽく歌う誰かがいて、満を持して出てくるTakeoffがかっこいいのです。ところで、Offsetのアルバムはいつ?

 

 

片平里菜 - fragment

これだけで足りる

五周年記念という名目でリリースされた”ベスト”アルバムである。きっと契約消化のためのアルバムであろう。だが、二枚組に別れたこのアルバムは、”Honey”と”Darling”と別れているらしい。上京後の初々しいデビューアルバム、ちょっとトウキョウに慣れて浮かれている二枚目、オトナに使い古された後の三枚目と私自身は解釈しているのだが、やはりそのようでデビューアルバムと二枚目の色が濃く選曲されている。まあ、ベストアルバムなので悪いわけはないのだが、”baby"がフィジカルに初めて入ったんじゃないだろうか、配信もされて聞けて満満足である。ですが、片平里菜のその先がまだ見たいと思っています。変な方向に行かないで良質な音楽を作り続けてください。これだけじゃ足りないと言わせて欲しい。

 

 

Vince Staples - FM!

ドゥーキーな

Green DayDookieをオマージュしたというポップなカバーアート。10曲超えで22分というこじんまりとしたアルバムである。Jay RockやTyにE-40などが参加しているが、一番の目玉はEarl Sweatshirtであろう。まるまる一曲を使い、ほぼ2年ぶりの凱旋を果たす*11。なぜ20秒足らずなのか、と思わせてるのに。サウンドは知ってるLBCサウンドである。中身がないYGと真反対の作品であるがゆえ、理解できると一気に現実を知らされる。ブラックイズビューティフルと言っているが、銃で撃ちまくる社会のままである。そんな、リリカルな部分が魅力を放ち、ファンを握る一因になっている。まあ、難しいし、いつまでもKehlaniは可愛い。

 

 

Trippie Redd - A Love Letter to You 3

傑作製造機

”Topanga”で始まるALLTY3は傑作以上のものである。16曲入りで、最近の風潮ではボリューミーではあるが、飽きが来ない。クラウド・ラップ出身であるのでその部分は忘れずに、所々にエモーショナルな部分を上手に使う。更には、同じようなJuice WRLDとの破壊力満載のトラックもあるので、とんでもない。だが、この一曲が異彩を放つぐらいのメッセージが一定である作品でもある。延々に別れをエモくラップしているだけである。この一枚は成長がないらしい、がこのジャンルでここまで心をつかめるのもTrippieだけであろう。だからこそ刺さる人がいる。”Topanga”のイントロは今年一番美しいイントロである。そして、美しいゴスペルである。そこにTrippieが来るともう。Life’s A TripALLTY3の2枚の傑作を作ったTrippieは19年どんな活躍をするだろうか。きっと、溜めている感情を昇華させるような作品になるだろう。

 

 

Ski Mask the Slump God - STOKELEY

Skiはガチ

 本当に優れているラッパーは誰だろうか。2Pacか?Biggieか?Kendrickか?それともJay-Zか?そんな議論は尽きない。だが、各世代に絞れば自ずと出てくるであろう。クラウド・ラップ出身のラッパーなら間違いなくSkiが一番である。それを知らしめるのがこの一枚。BustaのようなRapからEmo RapにいつものMumble Rapまで何でもできる。そして、”LA LA”はまるでXXXTentacionのようなRapをやってのける。もともと親友というところもあるのだろうが、リスナー目線ではクるものがある。”Foot Fungus”ではPharrellとSnoopのアレを効果的に使う。若いものには珍しく、練られたリリックも見どころである。

 

 

Kodak Black - DYING TO LIVE

脳細胞より体重のほうが多い

と言わしめるのがKodakである。ムショ帰りでパンパンに膨れた腹。特徴的な声。だが、やるときはやってのけるのが、Kodakであった。”ZEZE”のようなパーティチューンから、落ち着いた”Testimony”まであるが、大体が落ち着いている。ていうか、この”Testimony”で肝を抜かれた。”Topanga”が美しいイントロなら”Testimony”が最も美しいアウトロであろう。そう感じさせる道中のラップもうっとりさせる。いつもは冷めるような声であるんだが、なにか感じさせない覚悟というか存在感というか。ムショで蓄えたのは脂肪だけでは無いと思わせる。Lil Pumpとのコラボ”Gnarly”もまた可愛い曲である。両者とも良くないイメージがありがちではあるが、この曲では覚醒している。”Whippin' Ariana Grande, I got iCarly (Yeah) I got white girl (Yeah), I got black Barbie”というこのラインでは、私のエモい気持ちを全部持っていかれた。愛らしいKodakに。

 

 

21 Savage - I AM > I WAS

新境地がささやく

初っ端からJ.Cole。PostyにChildishにQにGunnaにOffsetという豪華てんこ盛り。なのに、Feat表記はない凝りよう。Metro BoominのアルバムであるNot All Heroes Wear Capesにも21は参加していたのだが、そのうちの一つ”Don't Come Out The House”で21はささやくという新境地を開いたのである。それを前提に”asmr"では、同じくMetro Boominのプロデュースのもと、またささやきやがるのである。ASMRといえば今流行りのジャンルで、聞けば見れば心地よくなるものを指す。さて、21のささやきであるが十分にASMRではないであろうか。Offsetとの”1.5”。Offsetの客演の多さのおかげで、私は最初のOffsetのアドリブで、どこから現れるかわかるようになってしまった。”good day"ではIce Cubeを彷彿させるGood day連呼であるが、そこからのQのラップが絶品。あまり抑揚のない21のラップだが、うまくハマったらこうなるんだなあと思う。うるさ目ではないトラックだと映える。ずっとささやいてくれ。

 

 

 ここまで22作の今年のアルバムを選出した。だが、アルバム全体で選ぶのももう終りに近いのかもしれないと感じるところもある。ストリーミング全盛期では、アルバムという存在が古くなりつつある。古くなるものも、良ければ再び脚光を浴びるものだが。来年からは楽曲単位での選出でもいいかなあと。19年はまったりと過ごしたい。

*1:もっとどうしようもないのは、死で稼ぐオンナである

*2:売上的にはYGを上回っていたが

*3:簡単に言うとMigosの逆である、あってるかは知らない

*4:なにに?

*5:Gimme the loot!

*6:しかし本当になぜ売れなかったのがわからない

*7:SKIとTrippieはガチ

*8:フレディ以外似過ぎだし、フレディはフレディだった

*9:一曲抜けているが

*10:悪く言えば目立たない

*11:と言ってもSkitだが